20-21シーズンのリーグ戦で復活の兆しを見せたマンチェスター・ユナイテッド。
長い低迷から復調しつつある赤い悪魔の戦術について解説していく。
本記事のテーマ
-
20−21シーズン総括!
マンチェスター・ユナイテッドの戦術徹底分析
この記事は以下の疑問を解決します
- マンチェスター・ユナイテッドの基本戦術について
- マンチェスター・ユナイテッドのキー選手は?
- 来シーズンに向けた補強戦略
クラブのプロフィール
-
創立年 : 1878年
クラブカラー : 赤色
ホームタウン : マンチェスター
ホームスタジアム : オールド・トラッフォード
収容人数 : 75653人
監督 : オーレ・グンナー・スールシャール
Final pertama sebagai pengurus #MUFC ✅👊
— Manchester United (@ManUtd_MY) May 6, 2021
🏆 #UEL pic.twitter.com/haDxUNuKti
マンチェスター・ユナイテッドは世界で一番ファンが多いと言われるクラブの一つだ。
日本でも元日本代表の香川選手が在籍したことで有名。
2013年にクラブの栄光を長い間支えたアレックス・ファーガソン監督が退任してからというもの、長い低迷期が続いている。
ファン・ハールやモウリーニョなどの名将ですら立ち直すことが出来なかったクラブだが、クラブOBであるスールシャール現監督によって徐々に再建しつつある。
マンチェスター・ユナイテッドの基本戦術
基本布陣

まずは基本布陣から見ていこう。
マンチェスター・ユナイテッドの基本フォーメーションは4−2−3−1。
GKは今季シェフィールド・ユナイテッドからローンバックし、デ・ヘアとの定位置争いに見事勝利したD・ヘンダーソンが君臨。
2CBはプレミア屈指の対人能力を持つマグワイアと読みとスキルで勝負するタイプのリンデロフ。
タイプが異なる二人の相性は非常にGOODだ。
右SBにはチームトップのタックル成功数を誇るアーロンワンビサカ。
左SBは今や世界最高の左SBの一人とも称されるルーク・ショー。
2ボランチにはフォジカルが強く攻守に渡って活躍するマクトミネイ、無尽蔵のスタミナで攻守に活躍できショートパス能力も高いフレッジがリズムを作る。
右SHには左右両方の足で点を取れるグリーンウッドを配置。
左SHにはドリブルとミドルシュートが得意なラッシュフォード。
トップ下にユナイテッドの救世主であるブルーノ・フェルナンデスが攻撃のタクトを振るう。
そして中央には献身的な守備とオフザボールの動きでゴールを狙うカバーニがいる。
GK:D・ヘンダーソン
DF:ショー マグワイア リンデロフ ワンビサカ
MF:マクトミネイ フレッジ
ラッシュフォード フェルナンデス グリーンウッド
FW:カバーニ
ユナイテッドの基本方針
ユナイテッドの選手は個々の能力が非常に高く
「個々の能力を最大限活かす」
これが戦術最大のテーマとなっている。
リヴァプールやシティのように戦術をチームに落とし込むスタイルとは真逆だ。
ユナイテッドのサッカーには後方からパスを細かく繋いで相手を崩すという概念そのものがない。
そのためラッシュフォードやマルシャル、グリーンウッドが気の利いた動きでボールを引き出すという場面も殆ど見られない。
ライン間でボールを受けようとするのはブルーノ・フェルナンデスや新加入で経験豊富なカバーニくらいだろう。
DFラインからのビルドアップ時は常にハマった状態にある。
しかしダブルボランチに入るフレッジやマクトミネイ、ポグバは相手を背負った状態でも上手く剥がしてボールを捌く事ができる。
左サイドのショーやラッシュフォードは強引に縦へ突破できる推進力を持っている。
こうした個の能力が非常に高いため、それだけでサッカーが成り立っており、相手にとっては対応が難しい(または出来ない)スタイルが完成している。
ユナイテッドのようなチームの場合、能力の高い新加入選手がチームに馴染みやすく、すぐにチームの戦力アップを行えることもメリットの一つだ。
とはいえ各個人が好き勝手やっていてはチームが崩壊してしまう。
そのためいくつかのルール(戦術)は存在するはずだ。
ここではユナイテッドの2つの戦術について分析していこうと思う。
今回紹介するのは以下の2つだ。
- キーマン(フェルナンデス)の役割
- ショートカウンター
キーマンの役割
ユナイテッドの攻撃において、キーマンであるブルーノ・フェルナンデスが非常に重要な役割を担っている。
フェルナンデスの大きな役目の一つとしては常にボールサイドでプレーし見方のフォローを行うことだ。
ボールの引き出し方も非常に上手く、ビルドアップ時には相手のライン間で動き回りボールを受ける他、長い距離を走って裏でボールを受けることもある。
サイドにボールがあるときはボールサイドによってフォローするため、サイドプレーヤーのボールロストが減ったように見える。
またブルーノ・フェルナンデス自身の視野が非常に広くパスも上手いため、フェルナンデスを経由することで攻撃パターンが格段に増えた。
さらにフェルナンデスがサイドに寄ったことで出来たスペースにボランチが走り込むことで数的優位を作っている。

パスの供給だけでなく、パスを出した後はゴール前に走り込みフィニッシュする場面も多く見られた。

このようにフェルナンデスをボールサイドでプレーさせることで、ボールの流動性を高め空いたスペースに人を走らせ数的優位を作る事が、ユナイテッド大きな狙いだろう。
ショートカウンター
続いてユナイテッドお得意のショートカウンターについて分析していく。
カウンターでもキーマンになるのがやはりブルーノ・フェルナンデスだ。
ユナイテッドが守備でボールを奪うと、フェルナンデスがやや下がり気味でボールを受けることが多い。
ボール受けたフェルナンデスはすぐに近くの見方へ少ないタッチでボールを落とす。
いわゆるレイオフというプレーだ。
落としを受けた選手はフェルナンデスより裏のスペースへ走り込む選手へパスを供給しそのままフィニッシュします。

ユナイテッドのカウンターはペップに「ワールドクラスの完成度」と言わせるほど質が高く、ユナイテッドの武器であることは間違いない。
マンチェスター・ユナイテッドの弱点は?
続いてユナイテッドの弱点について解説していこうと思う。
ユナイテッドの弱点は大きく以下の2つだ。
- ブルーノ・フェルナンデスの代役不在
- 戦術の柔軟性
ブルーノ・フェルナンデスの代役不在
フェルナンデスがユナイテッドの攻撃を牽引している一方で、フェルナンデスに頼りすぎという批判を受けることも多い。
現在フェルナンデスはシーズンを通してフル稼働しているが、万が一彼にトラブルが合った時の対処法を見出だせていないのが現状だ。
ブルーノ・フェルナンデスと交代でファン・デ・ベークが入ることもあるが、プレースタイルが異なるため彼と同じ役割を担うことは難しいだろう。
そのためブルーノ・フェルナンデスの代役を獲得するか、システムを変えるかという2択を選択する必要がある。
ブルーノ・フェルナンデスの代役を見るけるのは簡単な話では無い。
しかしスールシャールはシステム変更を行えるほど器用な監督でないのも事実だ。
戦術の柔軟性
ユナイテッドの2つ目の弱点は戦術の柔軟性が無いところだ。
選手の個に頼った采配を行っているが故に、試合の結果が選手のコンディションに左右されやすい。
個で打開が出来なくなった時こそ監督の手腕が試されるのだが、残念ながら現状スールシャールに試合の戦況を変えるほどの経験は無い。
試合が停滞すると打開策が無いまま終了することも多い。
さらに選手起用もほとんど固定化されており、サプライズ采配はほとんどしない。
時折ターンオーバでメンバーをごそっと変えることがあるくらいだ。
攻撃が停滞した時に打てる第2、第3の手があれば、ユナイテッドはCLでも上位に食い込むことができるだろう。
来シーズンに向けた動き
ユナイテッドは来季のリーグ制覇に向けて、今夏も積極的に動くことが予想される。
ここではポジション毎に噂されている補強ポイントを見ていこう。
GK:アトレティコの守護神獲得なるか
デ・ヘアがコンディションを崩し、現在はD・ヘンダーソンがゴールマウスを守っているが、スールシャールはヘンダーソンのパフォーマンスにも満足していない。
アトレティコよりヤン・オブラクの獲得が噂されているが、アトレティコがそう簡単に放出するとは思えない。
恐らく来シーズンもデ・ヘアとD・ヘンダーソンの2枚看板でいくことになるだろう。
CB:マグワイアの相棒探しに奔走か
DFラインは先日E・バイリーの契約延長が発表されたため、メンバー層は厚いと言えるだろう。
しかしバイリーとトゥアンゼベは怪我がちでシーズン通しての活躍は難しく、リンデロフはフィジカル・スピード面で不安が残る。
マグワイアの相棒探しが今夏の最優先事項になるが、ユナイテッドが狙うヴァランとクリバリの移籍は難しいだろう。
過去に何度もクリバリとは接触を試みているが、いずれも失敗に終わっている。
今夏にはレアルのヴァラン獲得に動いているとの噂もあるが果たして。。。。
ナポリのDFリーダーもしくはレアルのCBを獲得できるか注目して見ていきたい。
SB:狙うはワンビサカのバックアッパーのみ
左SBはルーク・ショーとA・テレスで決まりだ。
量・質ともに十分な戦力を有していると言っていいだろう。
問題は右SBだ。
プレミアでも随一の守備力を誇るワンビサカに依存傾向にあり、バックアッパーが存在しない。
B・ウィリアムズも在籍しているが、ワンビサカの代役には荷が重いだろう。
しかし現時点で右SBの獲得候補は存在しておらず、B・ウィリアムズが引き続きワンビサカのバックアッパーになる可能性が高い。
B・ウィリアムズの成長に大きく期待したいところ。
CMF:ポグバとマティッチの去就次第か
MFはポグバ・フレッジ・マクトミネイ・マティッチと十分な戦力を確保している。
しかしポグバはかねてより移籍を示唆しており、マティッチもローマからのオファーが噂されている。
もし2選手とも移籍するとなれば、1〜2選手は獲得しておきたいところ。
最有力候補はウェスタハムのD・ライスだ。
ユナイテッドが獲得に興味を示しており、ライス自身もユナイテッドに関心を持っている事が噂されるなど相思相愛の様子。
ライス獲得となれば、ポグバが抜けた穴も埋める事ができるだろう。
WG:メンバーの入れ替えが必須
ラッシュフォードとグリーンウッドが調子を上げている一方で、今シーズンのマルシャルは完全に蚊帳の外となっている。
19−20シーズンの活躍を期待できれば、来シーズン意向も戦力として数える事ができるが、望み薄だろう。
マタは年齢的に第一線で活躍するのは難しく、D・ジェームズは技術的にファーストチョイスにはならない。
右サイドの戦況を変えることができるワールドクラスのドリブラーがほしいところ。
最有力候補はドルトムントのサンチョとアストン・ヴィラのグリーリッシュ。
2選手には他クラブからも強い関心が示されており、獲得は容易では無いだろう。
しかしリーグ制覇・CL制覇を目標に掲げるのであれば、是非ともスカッドに迎えいれたい選手だ。
CF:トップターゲットはハリー・ケイン
カバーニが一年間の契約延長にサインしたものの、今後長期的に活躍できるCFだけは獲得しなければならない。
過去にはハートランドへの関心が伝えられたが、本人がスペイン移籍を希望しているため実現は難しいだろう。
そこで今夏はハリー・ケインがトップターゲットになる。
すでに報じられている通り、ケイン獲得に140億円もの大金を用意しているようだ。
ケイン自身も長年お世話になったトッテナムからの退団を示唆しており、移籍に前向きだ。
ケイン獲得なればユナイテッドのリーグ制覇ぐっと近づくに違いない。
乞うご期待だ。
まとめ 20−21シーズン総括
20−21シーズン ユナイテッドのリーグ戦を総括した。
多くの方が予想したとおり、優勝は出来ずとも上位に食い込んできたマンチェスター・ユナイテッド。
優勝出来なかったとはいえ、安定した強さが戻ってきたように感じる。
ポカミスによる失点や取りこぼしも少なくなってきた。
低迷したクラブをここまで立ち上がらせたスールシャールの手腕を称賛したい。
しかしまだまだシティとは戦力差があるように見える。
順位ではユナイテッドより下になるが、トゥヘル監督が就任したチェルシーも来季は優勝争いに食い込んでくるだろう。
来季に向けて戦力確保と準備をしっかりと進め、シティやチェルシーと優勝争いを演じて欲しい。
そうすることでプレミアリーグ全体の質も向上するだろう。
💬 オーレ「チームとして成長し、進化しなければいけない。我々は勝つためにプレーする」
— マンチェスター・ユナイテッド (@ManUtd_JP) May 5, 2021
「メンバーに関しては、1人か2人変更するかもしれない。ただ、まだ勝負はついていない。ローマは以前もアップセットをやっている。我々は決勝に勝ち進みたい」#MUFC #UEL pic.twitter.com/a9wsoZOdDc
コメント